【連載】不動産投資の考え方 Vol.010 融資条件 フルローン・オーバーローンについて
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連載第十回は、融資条件、またフルローンやオーバーローンで借りられる条件について解説いたします。

ある金融機関での融資期間は10年または15年であることが一般的です。しかし、ある条件が重なると融資期間を延ばすことができます。
実際に長期融資を受けた顧客のケースでは、住宅ローンが残った自宅を担保として金融機関へ提供したところ、借入額を上回る評価が出ました。そのため、融資期間が大幅に延びたのです。これは、かなりイレギュラーなケースといえます。
投資家自ら融資の相談へ行く場合には、融資条件について金融機関主導になってしまい、希望する条件で融資を受けられない傾向があります。その担当者が熱心なのか、不動産賃貸業に対してどれくらい理解があるかによって変わるものです。その点でいえば、やはり収益専門で行っている会社は不動産賃貸業に理解のある金融機関とのパイプを複数もっていますし、常に最新情報が入ってくるのです。
なごみがこれまで手がけたケースでは、ある支店で融資期間10年といわれていましたが、なごみが紹介した支店では融資期間が15年になったこともあります。
次に、民間の金融機関についてです。多くの金融機関では、法定耐用年数から建物の築年数を引いた年数を融資期間の上限としています。たとえば、重量鉄骨の法定耐用年数は34年のため、築24年の物件では34年124年=10年が融資期間の上限となります。
この条件ではキャッシュフローが出にくく、かなり厳しい運営となります。しかし、投資家がよく利用する金融機関では独自の基準を設けていて、融資期間の計算式も少々異なります。
A銀行では、木造の場合40-築年数で算出され、融資期間を決定し、築年数に応じて30年前後の融資をうけることができます。
B銀行の融資スタンスをひと言で表せば、「土地に融資をしている」といえます。資産形成として、土地の評価が出る物件に対して、評価額の範囲内で融資をする内規があるようです。
Cファイナンスの融資期間は、物件の耐用年数とは関係なく、30年の融資が受けられます。
D銀行の場合、木造だと50-築年数、S造RC造だと60-築年数といわれています。築浅木造だと30年の融資を受けられるケースが多くあります。S造RC造ですと築30年までの物件だと期間30年近くの融資を受けることができます。
また、一般的な地方銀行は前述した銀行ほど積極的に融資はしていませんが、ある地方銀行では、貸出金利は1%前半です。金利は低いものの、融資期間は残存耐用年数が上限となるので、どうしても返済期間が短くキャッシュフローは出にくいことが多いです。もち込むべき物件は選びますが、金利の低さは魅力です。
全体の傾向として、融資に積極的な金融機関は、金利が比較的高くなりますが、融資年数は長めになる傾向があります。最近融資を出すようになった地方銀行の場合、金利は低い代わりに耐用年数を厳格に見ているケースもあります。
金融機関の振り分けは、まず投資家の属性によって利用できる金融機関が決まり、次にどのような物件か、木造・鉄骨造・RC造といった構造、そして築年数の組み合わせで、さらに細分化して当てはめていく考え方となります。
年収500万円以下の人は、まず「本業や不動産投資以外の副業に注力して、属性を強化する」「時間をかけて不動産投資を行う」ことをお勧めします。自身の年収を伸ばすことで融資条件が良くなり、選択肢が大幅に広がります。

利回りが高い物件というのは、収益性が高い物件です。そして、裏を返せば「積算評価(土地値+建物の価格)がいまいち」である物件が多くなります。
ほとんどがやや地方にあるような物件で、金融機関からの土地の評価は低く、建物は築年数がたっていて法定耐用年数をオーバーしているケースも珍しくありません。
では、積算が出ない物件を買うと後の融資への影響はどうなるのか、考えてみましょう。
たとえば、千葉の物件を政府系金融機関で買ったとします。その後、別の物件を買うために北関東の地方銀行で融資を受ける場合、「千葉にある物件」に対して、「北関東の銀行が担保価値を出すのか」という話になります。この銀行のケースでは、本店のある県内、東京都内、埼玉の一部エリアで担保物件を評価するため、千葉の物件をあまり評価しません。
積算評価と収益性、すべてがかっちり組み合う買い方は難しいものです。もちろん、金融機関は、収支が黒字でなければ事業として成功していると評価しませんので、その部分はクリアすべきです。
政府系金融機関の存在意義は、「低金利で多くの人が借りやすく、民間の金融機関では実績が不足して貸し出せないような、中小零細の事業者にも融資する」点にあります。ですから、そこで借りたら必ず実績を出さなければなりません。
このステージで担保評価ばかりを気にしながら物件を買ってしまうと、収益性の劣る物件を購入することになり、金融機関から「あまり利益が出ていない」と見られ、収支の観点で融資を受けられない事態に陥ります。他の金融機関を使えない属性の方が「他の金融機関がどう評価するか」を考えることは無駄でしかないのです。そもそも、受けられないのであれば考慮する必要はありません。
そのため担保価値は度外視して、利回りの出る物件に対して使うことをひとつの戦略としてお勧めしています。政府系金融機関を使うときは、とにかく高利回りの物件を狙いましょう。
まず越えるべきハードルは「収支がプラスであること」。そこからスタートして、次の展開を考えるべきなのです。
戸建て物件でも「土地の積算評価はどれくらいですか」と聞いてくる人がいます。このあたりは人によって意見が違うところで、「市街化調整区域でも入居者が確保でき、収益性が高ければ関係ない」という人もいれば、そうでないという人もいます。
いずれにせよ属性があまり高くない人にとって、積算評価はそこまでこだわるポイントではありません。なごみのお勧めをいえば、地方にある積算評価が低い物件にターゲットを絞って、「土地の値段が安い割には家賃が取れるエリア」で収益性の高い物件に投資するのが得策です。
物件価格分の融資を受ける「フルローン」の条件というのは、金融機関によって異なります。
先述したB銀行では「土地と積算評価」を重視しています。土地の相続税路線価が売価に対して6,7割以上であればフルローンを受けられる場合があります。
Cファイナンスでもフルローンを受けることができる可能性があります。ただ売買価格と物件評価の乖離分を抵当権のない所有物件を共同担保として、自己資金分を埋めることができます。共同担保次第では、フルローンを目指すことも可能です。
なごみの知るケースでは、投資家自身がリフォーム見積書を用意する場合もありました。ただ、なごみはリフォーム会社をグループ内にもっているため、ほとんどの人がお任せです。なぜならば、個人で対応するよりも素早い見積書作成が可能であるためです。
投資家の多くが「フルローンあるいはオーバーローンで借りたい」という希望をもっています。実績からしてフルローンは夢ではありません。むしろ現実的だと思います。
次回は住宅ローンと投資の関係についてご案内します。
連載第十回は、融資条件、またフルローンやオーバーローンで借りられる条件について解説いたします。
融資期間、金利・・・・・・「融資条件」についての考え方

ある金融機関での融資期間は10年または15年であることが一般的です。しかし、ある条件が重なると融資期間を延ばすことができます。
実際に長期融資を受けた顧客のケースでは、住宅ローンが残った自宅を担保として金融機関へ提供したところ、借入額を上回る評価が出ました。そのため、融資期間が大幅に延びたのです。これは、かなりイレギュラーなケースといえます。
投資家自ら融資の相談へ行く場合には、融資条件について金融機関主導になってしまい、希望する条件で融資を受けられない傾向があります。その担当者が熱心なのか、不動産賃貸業に対してどれくらい理解があるかによって変わるものです。その点でいえば、やはり収益専門で行っている会社は不動産賃貸業に理解のある金融機関とのパイプを複数もっていますし、常に最新情報が入ってくるのです。
なごみがこれまで手がけたケースでは、ある支店で融資期間10年といわれていましたが、なごみが紹介した支店では融資期間が15年になったこともあります。
次に、民間の金融機関についてです。多くの金融機関では、法定耐用年数から建物の築年数を引いた年数を融資期間の上限としています。たとえば、重量鉄骨の法定耐用年数は34年のため、築24年の物件では34年124年=10年が融資期間の上限となります。
この条件ではキャッシュフローが出にくく、かなり厳しい運営となります。しかし、投資家がよく利用する金融機関では独自の基準を設けていて、融資期間の計算式も少々異なります。
A銀行では、木造の場合40-築年数で算出され、融資期間を決定し、築年数に応じて30年前後の融資をうけることができます。
B銀行の融資スタンスをひと言で表せば、「土地に融資をしている」といえます。資産形成として、土地の評価が出る物件に対して、評価額の範囲内で融資をする内規があるようです。
Cファイナンスの融資期間は、物件の耐用年数とは関係なく、30年の融資が受けられます。
D銀行の場合、木造だと50-築年数、S造RC造だと60-築年数といわれています。築浅木造だと30年の融資を受けられるケースが多くあります。S造RC造ですと築30年までの物件だと期間30年近くの融資を受けることができます。
また、一般的な地方銀行は前述した銀行ほど積極的に融資はしていませんが、ある地方銀行では、貸出金利は1%前半です。金利は低いものの、融資期間は残存耐用年数が上限となるので、どうしても返済期間が短くキャッシュフローは出にくいことが多いです。もち込むべき物件は選びますが、金利の低さは魅力です。
全体の傾向として、融資に積極的な金融機関は、金利が比較的高くなりますが、融資年数は長めになる傾向があります。最近融資を出すようになった地方銀行の場合、金利は低い代わりに耐用年数を厳格に見ているケースもあります。
金融機関の振り分けは、まず投資家の属性によって利用できる金融機関が決まり、次にどのような物件か、木造・鉄骨造・RC造といった構造、そして築年数の組み合わせで、さらに細分化して当てはめていく考え方となります。
年収500万円以下の人は、まず「本業や不動産投資以外の副業に注力して、属性を強化する」「時間をかけて不動産投資を行う」ことをお勧めします。自身の年収を伸ばすことで融資条件が良くなり、選択肢が大幅に広がります。
融資に当たって重視されるのは収益性?資産性?

利回りが高い物件というのは、収益性が高い物件です。そして、裏を返せば「積算評価(土地値+建物の価格)がいまいち」である物件が多くなります。
ほとんどがやや地方にあるような物件で、金融機関からの土地の評価は低く、建物は築年数がたっていて法定耐用年数をオーバーしているケースも珍しくありません。
では、積算が出ない物件を買うと後の融資への影響はどうなるのか、考えてみましょう。
たとえば、千葉の物件を政府系金融機関で買ったとします。その後、別の物件を買うために北関東の地方銀行で融資を受ける場合、「千葉にある物件」に対して、「北関東の銀行が担保価値を出すのか」という話になります。この銀行のケースでは、本店のある県内、東京都内、埼玉の一部エリアで担保物件を評価するため、千葉の物件をあまり評価しません。
積算評価と収益性、すべてがかっちり組み合う買い方は難しいものです。もちろん、金融機関は、収支が黒字でなければ事業として成功していると評価しませんので、その部分はクリアすべきです。
政府系金融機関の存在意義は、「低金利で多くの人が借りやすく、民間の金融機関では実績が不足して貸し出せないような、中小零細の事業者にも融資する」点にあります。ですから、そこで借りたら必ず実績を出さなければなりません。
このステージで担保評価ばかりを気にしながら物件を買ってしまうと、収益性の劣る物件を購入することになり、金融機関から「あまり利益が出ていない」と見られ、収支の観点で融資を受けられない事態に陥ります。他の金融機関を使えない属性の方が「他の金融機関がどう評価するか」を考えることは無駄でしかないのです。そもそも、受けられないのであれば考慮する必要はありません。
そのため担保価値は度外視して、利回りの出る物件に対して使うことをひとつの戦略としてお勧めしています。政府系金融機関を使うときは、とにかく高利回りの物件を狙いましょう。
まず越えるべきハードルは「収支がプラスであること」。そこからスタートして、次の展開を考えるべきなのです。
戸建て物件でも「土地の積算評価はどれくらいですか」と聞いてくる人がいます。このあたりは人によって意見が違うところで、「市街化調整区域でも入居者が確保でき、収益性が高ければ関係ない」という人もいれば、そうでないという人もいます。
いずれにせよ属性があまり高くない人にとって、積算評価はそこまでこだわるポイントではありません。なごみのお勧めをいえば、地方にある積算評価が低い物件にターゲットを絞って、「土地の値段が安い割には家賃が取れるエリア」で収益性の高い物件に投資するのが得策です。
フルローンで借りられる条件とは?
サラリーマン投資家にとって「どのような条件だとフルローンやオーバーローンの融資が受けられるか」ということは、非常に気になる話題です。物件価格分の融資を受ける「フルローン」の条件というのは、金融機関によって異なります。
先述したB銀行では「土地と積算評価」を重視しています。土地の相続税路線価が売価に対して6,7割以上であればフルローンを受けられる場合があります。
Cファイナンスでもフルローンを受けることができる可能性があります。ただ売買価格と物件評価の乖離分を抵当権のない所有物件を共同担保として、自己資金分を埋めることができます。共同担保次第では、フルローンを目指すことも可能です。
なごみの知るケースでは、投資家自身がリフォーム見積書を用意する場合もありました。ただ、なごみはリフォーム会社をグループ内にもっているため、ほとんどの人がお任せです。なぜならば、個人で対応するよりも素早い見積書作成が可能であるためです。
投資家の多くが「フルローンあるいはオーバーローンで借りたい」という希望をもっています。実績からしてフルローンは夢ではありません。むしろ現実的だと思います。
次回は住宅ローンと投資の関係についてご案内します。