【連載】不動産投資の考え方 Vol.021 戸建て物件の売却
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連載第二十一回は、『戸建て物件の売却』について解説します。
戸建て物件の売却は「実需向け」がキホン
不動産投資には、出口戦略が不可々です。その投資が成功だったか、あるいは失敗だったかを確定させるのが、まさしく売却のタイミングであるためです。手持ち物件の売却を考える際は、物件タイプに合わせた戦略を採ることが必要です。まずは、数ある物件の中でも売り方に特徴のある「戸建て物件」について解説していきます。戸建ての場合、賃貸中でオーナーチェンジになるケースと、空室で物件を売るケースによって売り方が異なります。
まず第1に、賃貸中の物件をオーナーチェンジ物件として投資家向けに売るケース。これは売りやすいです。ロットが小さいことと、初めて購入する物件がオーナーチェンジ物件だと安心できるという投資家がいるからです。700万円を切るくらいの郊外の戸建て物件だと、必ず現金で買おうとする人が現れます。ただし、現金買いであることを理由に、きつい指し値を入れてくることも多くなります。
重要なのは「賃貸中の戸建てに融資付けができる」業者に売ってもらうことです。実はそれができる仲介業者は少ないのが実情ですが、こういった業者であれば「戸建てを買いたい」というサラリーマン投資家の顧客ルートをもつケースが多いのです。融資をセットにして、少ない自己資金でも戸建てを購入する仕組みを投資家に提供することで、買い手と売り手双方にメリットのある取引ができるのです。
第2に、退去などで空室になった戸建てを売却するケースです。この場合は、一般住先として実需層(マイホーム購入層)に売ることになります。投資物件としてオーナーチェンジをするケースと空室物件をキレイにリフォームして、実需層に売却するケースの2つを比べると、傾向としては空室状態でマイホームとして売り出したほうが高く売れます。なぜなら、実需で自宅を探している人たちは利回りや収益性にこだわった物件選びをしていないからです。さらに高く売るには、表層をリフォームして小ぎれいな印象をもたせることが大切です。注意点をいえば、リフォームをやりすぎてしまうと、投資効率が悪くなりますので、適度なバランスを見極めることが必要です。
そして、物件情報は多くの仲介業者に行き渡るようにしましょう。物件情報は業者間の不動産流通ネットワーク「レインズ」に掲載しなければならないのですが、これをせず他の業者には物件情報を出さないことを「囲い込み」といいます。情報の「囲い込み」を行って、仲介手数料を1社で独占しようとすることです。そのため実需層に売却するときは、売りに出している情報を広く周知してくれる信頼できる業者を選ぶのがポイントです。というのも、いまだに「囲い込み」をやっているところがあるからです。「大手だから借用できそうだ」と思って選んだ会社でも、「囲い込み」をしている可能性があります。
集合住宅の売却は「満室」かつ「コンディション良好」で!
次にアパートなど共同住宅を売却するケースでは、これも融資付けが得意な業者に頼むことをお勧めします。実需専門でやっている業者は「どこの金融機関がどういう融資を出すのか」という大事なポイントがわからず、投資家の目線ももっていないので、売却の査定額も違います。売却を決断するサラリーマン投資家からすれば「できる限り、高く売りたい」と考えますが、それを「手間をかけず、さっさと売ってしまいたい」ということで、二束三文で売り飛ばしたりするのです。
やはり、餅は餅屋です。戸建てのオーナーチェンジと同様ですが、収益物件を専門にした仲介業者をしっかり探しましょう。なごみは投資家の顧客を複数抱えているため、物件を探している人をタイムリーに紹介できる上、LINEを利用して多くの人に情報を拡散できます。買うときも売るときも融資のルールは一緒ですが、業者の力量や経験値で融資内容にも差が出るのです。
その他の注意点としては、空室があるよりは満室のほうが売りやすくなります。多くの投資家は、空室のない満室のアパートを望んでいるものです。空室が多ければ、それだけで売りにくくなり、売れたとしても大幅な指し値をされる可能性があります。加えて建物の状態、敷地の状態をしっかりチェックしましょう。
駐車場にゴミが捨てられ、駐輪場には誰も乗っていない自転車が放置。郵便ポストにはチラシが散乱・・・・・こんな管理の行き届いていない物件は誰もほしくありません。誰もほしがらない物件を、徹底的な指し値で割安購入をするような人たちのターゲットにならないようにしましょう。つまり、リフォームでなくて清掃のほうが大切なのです。室内設備については新しいほうが好まれますが、まずは壊れていないことが前提で、過剰に手間やお金をかけないことが成功の秘訣です。
建て替えたり、更地にして売却すべきケースとは?
なごみは「キャッシュフローがほとんど出ない」物件を所有しています。これは、出口戦略を描いているからこそ保有している物件です。その出口戦略の例を挙げれば、道路付けが良い物件であれば、長期間保有した後に建物を解体して土地として売却する方法があります。この場合、なるべく賃貸物件として回して投資資金を回収したほうがいいですが、難しいのが「立ち退き」の問題です。
たとえば10室のアパートで2室しか入居がない状態だと、2部屋分の賃料で所有中の経費を賄う必要があります。このあたりをどう考えるかです。そのほか、老化した建物を解体して土地として売る以外に、建て替えという出口戦略もあります。この場合、ある程度返済が済んでいて、土地の担保力よりも残債が減っていれば、金融機関に建て替え費用の融資に前向きに検討してもらえます。古い物件の場合は、修繕で維持するのも難しく、入居者も減ってきたタイミングで売却するのがいいでしょう。そのときに残債とのバランスと不動産市況によって、取れる出口に振れ幅が出ます。
次回は、『業者との媒介契約』について解説していきます。