【連載】不動産投資の考え方 Vol.026 不動産投資家 事例紹介 その① 後編
後編は、Nさんがサラリーマンをリタイアされてからの投資や生活を取り巻く環境の変化についてお伝えします。
2015年7月にサラリーマンをリタイア!
このように着実に物件を買い進められたNさんは、2015年に退職されました。
お父さまのお加減が思わしくなかったことがその理由です。
「結局、2015年12月に亡くなったのですが、退職については、なごみさんに事前にはお話ししていません。「プロパーローン(自分で調達した資金を、自分のリスク負担で貸し出すローン)」という道もあることは知識としてはあったのですが、実際に銀行を回ると、門前払いされることが多いと実感しました。やはり、属性はサラリーマンのほうがいいですね。しかし、退職後も購入はしています。アパートと戸建てをまとめて3棟、2016年9月に決済しました」
退職してサラリーマンという属性がなくなった後は、融資のハードルが高くなるものです。しかし、Nさんの事例では、政府系金融機関から新規開業資金として借り入れすることができました。ここでは15年ではなく20年の融資が出たため、その枠で物件3棟をまとめて購入する運びとなりました。
「新規購入分を除いて、現状は、27室中26室入居しており、ほぼ満室で稼働しています。
1室だけ空いている物件がある茨城県のT市の空室率は平均46%の地域ですが、その中でも利便性がよく、比較的引き合いがあるエリアです」
このように、順調に高稼働を実現しているNさん。マクロ的な、あまり広い人口流入・動態は、そこまでネガティブになる必要はないのです。今後は手元の資金を貯めて、さらに増やしていきたいというご希望です。
「先の大型イベントを見越し、徐々に増やしていきたいと思います。今は物件購入と並行して銀行を開拓し、事業者として融資を受ける道をつくっています。将来的には、購入する物件は自宅に近い23区、もしくは千葉市内に集約したいと思っています。現状ではまだ、築古でキャッシュが出る郊外の物件を希望しています。将来的には真ん中に集約していくのが、長い目で見たら確かに王道ではないかと感じます」
朝早く家を出て、夜遅くに帰宅するサラリーマン生活から解放されたNさんは、今はお子さんと一緒にご飯を食べ、お風呂も入っているそうです。
「やはり、家族サービスができることがありがたいですね。また、役所へ行くのも、法務局へ行くことも平日にできます。平日が自由になるメリットは大きいです」
実際のところ、本業を辞めずサラリーマン投資家を続ける方と、サラリーマンをリタイアされて事業者になった方への提案は違いますが、Nさんはよい状況でシフトチェンジができたように思います。最後に、サラリーマン投資家を目指す読者へメッセージをいただきました。
「なごみさんは巷の仲介業者とは少し違う面があることを、まずお伝えしたいと思います。入居付けに非常に強く、収益性の高い物件を扱っているからです。また、サラリーマンは投資のことを会社では一切話せないため、困ったことを相談できる仲間をつくるといいと思います。私も大家仲間がいますが、そのような仲間と飲み会で情報交換をしたり、モチベーションを上げていくのはよい選択だと思います」
キャッシュフローでいえば年収3000万円が希望ですが、ご夫婦で国内・海外旅行をして、生活ができる収入があればいいと考えているそうです。不動産投資のおかげで日々の時間を非常に有意義に過ごすことができ、家族との時間も増えたと喜ばれています。
次回は、投資に対してリフォームがカギとなった事例をご紹介します。